「ヨガと瞑想」すると体に何が起きる??〜科学的な効果とやるべき2つの理由〜
目次
ヨガとはポーズではなく、呼吸法
忙しい現代人や、健康志向の人々に非常に人気のヨガですが、ヨガを習慣にしているモデルや芸能人の影響もあり、特に、「美しくなりたい」、「健康的に痩せたい」といった願望を持つ女性には、依然として根強い人気を誇っています。
世界的にもヨガは普及しており、ヨガ人口は約3億人ともいわれています。
日本では、エクササイズやダイエットとしてのイメージが定着しているヨガですが、ヨガの起源は体を動かす体操ではなく「瞑想」や「呼吸法」にあると言われています。
ヨガの起源は、諸説ありますがインダス文明の時代とも言われています。この時代のヨガは、「瞑想法」であり「呼吸法」でした。
ヨガといえば、アクロバティックなポーズを取るヨガ行者の姿などが印象的ですが、これは私たちが抱くヨガのイメージを若干ゆがめているかもしれません。
ヨガの目的は、苦しい、極端なポーズを行うことではなく、ゆっくりと呼吸を行うことで、「プラーナ」と呼ばれる生命エネルギー(≒“気”)と酸素を取り込み、健康を維持することなのです。
深い呼吸をすると、肺や内臓が刺激され胃腸が健康的になりますが、古代インド人は呼吸が健康維持に繋がることを、はるか昔に気づいていたのです。
ヨガのイメージとして定着しているポーズが考案されたのはそのあとです。ポーズはあくまでも深い呼吸をサポートするためであり、メインは呼吸法にあります。
医療としても注目されるヨガ
ヨガ発祥の国インドをはじめとして、アメリカ、イギリス、ドイツなどの先進国でも、ヨガは「代替医療」として積極的に活用されています。
代替医療とは、シンプルに言うと現代の西洋医学以外の医学・医療の総称で、東洋医学(ヨガ、漢方、鍼灸、気功など)全般や、そのほかの認知されていない様々な療法も含まれてきます。
インド政府は、「Ayush」と呼ばれる組織(省庁)を設立し、ヨガやアーユールヴェーダといった伝統医療と現代医療が共同研究を行い新薬や新しい治療法の発明を進めています。
米国では、代替医療として使われるメソッドとして、ヨガはTOP10に入っています。また、米国の大規模な癌センターの多くでヨガプログラムが導入されています。
ヨガをやるべき理由①
~自律神経を整えることは、仕事のパフォーマンスにも影響する~
古代インドでのヨガは「呼吸法」であり「瞑想」だった、と書きましたが、呼吸が健康に与える影響を詳しく見ていきたいと思います。
ヨガの世界では、空気のことを「プラーナ(生気、エネルギー)」と呼び、非常に重要な概念です。古代インド人は、人間はエネルギーにより生命を維持していると考え、そのエネルギ―がプラーナなのです。
ヨガの呼吸法は、サンスクリット語で「プラーナヤーマ」と言われ、プラーナをコントロールする、という意味です。呼吸は生命エネルギーを活性化する、大気中の気を集める行為なのです。
私たちの普段の生活では呼吸が浅くなりがち、と言われています。
呼吸が浅くなる大きな原因は色々ありますが、「ストレスの上昇」が大きな理由です。ストレスが高まると、「自律神経」のバランスを取っている「交感神経」と「副交感神経」のうち、交感神経が優位になって呼吸が浅く、早くなるのです。
肺は、心臓や胃腸などの臓器と違って、自ら伸長しないので、横隔膜や肋骨の間の筋肉を動かすことによって呼吸をしています。深く呼吸をするためには、横隔膜や肋骨を意識的に動かすことが大切なのです。
浅い呼吸では、肺を広げて、横隔膜が十分に動かすことができず、十分な酸素の循環が行われなくなります。
また、横隔膜の上下運動がないと、内臓に刺激を与えることができないため、内臓機能が弱くなり、便秘といった症状を引き起こす原因にもなります。横隔膜には自律神経が集中しているので、自律神経の動きが鈍くなり交感神経と副交感神経のバランスが崩れてきます。交感神経優位になると、イライラし免疫力が低下し、一方、副交感神経が優位になると、注意力が散漫になりミスが増え、ますますストレスを高める、というマイナスのサイクルに陥るのです。
古典ヨガでは、呼吸法は瞑想のために行われていましたが、ポーズを行いながら呼吸を行うと、意識がより呼吸に向き、身体と横隔膜を動かして、内臓や骨盤内臓、内分泌腺までマッサージしてくれるようになります。さらに、血行促進→代謝UP→免疫力向上というプラスの連鎖が期待できるのです。
しっかりとした深い呼吸で自律神経のバランスを整えることは、免疫力維持、高血圧予防といった健康的なメリットだけでなく、集中力アップや、仕事を含むあらゆる活動でのパフォーマンスを維持するためには、とても重要な役割を果たすのです。
ヨガをやるべき理由② ~「脳力」アップで創造性を手に入れる~
脳には、ストレスを受けた時に反応する1.5センチほどの扁桃体という部位があります。
この扁桃体がストレスに反応すると、脳の底部にある視床下部という自律神経のコントロールを行う部位から交感神経を優位にさせる指令がでます。
また、下垂体を通じて指令がでて、副腎からストレスホルモンの「コルチゾール」が血液中に放出されます。
コルチゾールは、血糖値上昇、血圧上昇、免疫抑制につながると共に、これが脳に届くと、脳神経細胞が破壊され自制心のバランスを崩すだけでなく、記憶や感情を司る海馬の一部が委縮してしまいます。
慢性的なストレスにさらされていると、扁桃体は大きくなる一方、感情や情動を抑制している前頭前野の支配力を弱めます。
前頭前野は、脳の中でも高度に進化した領域で、抽象的な思考に関わる神経経路があり、集中力を高めたり、ワーキングメモリー(計算するときなどに情報を一時的に記憶すること)として働きます。
ストレスが高まると、前頭前野の中にある重要な神経細胞間の活動が弱まり、やがて止まってしまうため、非常に深刻です。
しかしヨガ、特に瞑想を行うことで脳を休ませて脳細胞を修復することができるのです。
瞑想を行うことで、脳の構造や機能が大きく変化することはすでに多くの研究で確認されています。
瞑想の本質は、自分の内側に目を向けて客観的に自分を「眺める」練習です。どんな状況であっても、心静かに冷静な状態でいられるようになることが、瞑想の最大の目的です。自分を静かに眺め「今、ここ」に意識がいくと、心が自由な状態になります。つまりこれは、自分をコントロールできるということであり、周囲の環境や状況に振り回されなくなると、感情的になることも減り、結果的にストレス軽減にもつながっていきます。
前頭葉の真ん中に前頭前野背内側部(DMPFC)という部分がありますが、ここは物事を客観視するときに働く重要な部位といわれています。
瞑想を継続すると、理性を司る前頭葉の血流が増えて、このDMPFCが徐々に鍛えられていくといわれています。実際、ヨガや瞑想の達人と言われる人の脳を調べると、脳の神経細胞が増えて、このDMPFCが厚くなっているのです。
さらに嬉しいことに、瞑想を行い脳によい休息を与えていると、「ひらめき」や「インスピレーション」が生まれやすくなります。
ぼんやりとしていた時に、思わぬひらめきを思いついた!という経験はないでしょうか?これは脳の動きと関係しています。
脳が疲れていると、エネルギーをセーブしようとしてデフォルト状態(オフ状態)に入ります。しかし、ぼんやりしていてもこのデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)は活性化しており、これが良い形で働くと、これまで考えていなかったアイディアが湧いたり、解けなかった問題の糸口が見つかったりするのです。
瞑想は脳に休息を与えて脳のポテンシャルを引出しているだけでなく、DMNの状態を作り出すトレーニングとして大きな役割を果たしてくれています。
私たちは普段、大量の情報に囲まれながら、ある意味、脳をフルタイムで「酷使」して判断、選択して生活しています。
意識的に脳に休息を与えることは、脳の健康にとっても、さらには私たちの心身の健康においても不可欠なのです。
脳の力をいかに引き出し、コントロールするか、という「脳力アップ」は現代人にとって大切なスキルの1つかもしれません。
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