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コラム

組織開発の4つの新潮流: ODプラクテショナー(実践家)に求められること

組織開発の新しい流れの勢いは、デジタル化に向かって加速度をつけている。
テクノロジーの爆発的進行を背景に、新しい組織開発を形作る大きなトレンドは、組織と働き方、人事マネジメントそのものにおよび、OD実践家の役割を大きく変えていく。
問題は、グローバルな規模で大きく押し寄せているこの波を日本の多くのOD実践者が認識していないことだ。

 

4つのトレンド

いま、全世界的におこっている人と組織をめぐる事象で起こっている潮流は以下の4つ。

1)未来型組織:組織そのものの変化
2)デジタルワークキングスタイル:仕事の仕方そのものの変化
3)ビックデータin OD&HR:大量で多様なデータからの洞察
4)OD(組織開発)領域とタレントマネジメントなどの融合

 

未来型組織:成長するプラットフォームビジネス

デロイト・トーマツが発表した「グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド 2017」では、トレンドの一番に「未来型組織」を挙げている。
しかし、日本は、このトピックを重要だとしたのは70%、調査国16か国中で最下位であり、新しい組織の台頭に対する人事部門の認識は、世界と比較して恐ろしいほど低い。
現代の高収益モデル企業は、デジタル・プラットフォーム型ビジネスを展開している企業である(例えば、日本でいえば、メルカリ)そのような企業における組織デザインやマインドセットは、伝統的な企業とは異なる。
未来型組織は、そのビジネスモデルが生み出す特徴として、企業としての境界がクリアでなく、柔軟なビジネス環境を提供する。
いま、ティール組織やホラクラシー型組織といわれている組織形態である。これらの新しい動きのなかでは、伝統的組織開発が機能しないことが生じる。

 

業務のデジタル化(デジタルワーキングスタイル)

2つ目のトレンドは、事業そのものがデジタル化することだ。
ビジネスのすべてのプロセスがデジタル化していく。
システムのデジタル化は、伝統的モデルのいわゆる、一連の流れのあるサプライチェーン型(生の材料がシステムにはいることにより、製品やサービス、または組織的知見に変容させていくモデル)から、複合、複雑システムの動くデジタルモデルへと変容していく。デジタルモデルにおいては、データは、業務のあらゆるタイミングと場所から収集され、統合されてゆく。
システムに対するフィードバックもどの段階でもおこる。このような組織でOD的介入をする場合は、従来のような部位的介入(ある組織だけとか)は意味をなさなくなり、全てのレベルでの統合が必要になる。
ミッション、バリュー、組織構造、業務システム、プロセス設計、リーダーシップ、推奨されるべき行動様式、組織文化からのメッセージ、従業員の価値観などすべてが同じ方向感をもつ、組織開発の介入が必要になる。また、例えば、デジタル化されたワーク環境のなかでは、個別にカスタマイズされた成長フィードバックなども当たり前になる。

 

OD,HR領域情報のビックデータ化

組織における情報はビックデータ化していく。今までのスタティックな情報(属性、所属、業歴、トレーニング歴など)だけでなく、例えば、生体データやを活用したストレスチェックや、オフィス内での行動データでとらえるもの、社内SNSの飛び交うメッセージそのものも組織データとなりうるのである。
従業員調査なども、年に1度、全社的イベントとしておこなうだけでなく、いわゆる「パルスサーベイ」(脈をとるように状態をはかる)のような形のもので日常的にデータをとることになる。(今日の気分を入力していくという)今後にわたっては、これらのパルスサーベイは、より生体データと融合しながら、大量の組織情報を生み出すことになるだろう。
このようなデータを解析し、分析することで、個人のコンディション、モチベーション状態、仕事に対する集中、ジョブフィット感などが把握できる可能性がある。
これらのピープルアナリティクス能力が組織開発実践者には求められることになる。これらのビックデータを活用したOD介入はこれからのスタンダードになる可能性が高い。ODチームには、少なくとも、OD的視点で対応できるデータアナリストが必要になるだろう。

 

組織開発(OD)領域とタレントマネジメントの融合

組織開発は、個人、チーム、組織の成長に根差していることはいうまでもない。
データドリブンのOD介入(働きかけ)は、場づくりや成長誘発のものだけではなく、タレントマネジメントに代表されるような、企業の目的、事業目標達成のために、人材を特定し、一連の人事プロセス(採用、配置、評価、処遇、育成など)を通じて、人材の能力を最大限に生かす仕組みをつくることと統合していく。
例えば、360度評価をはじめいたるところで取られる組織内のデータは、パフォーマンスマネジメントや、タレントマネジメント、サクセッションプラン、ハイポテンシャルの選抜に活用されることになるだろう。
データドリブンの対応は、一方で偏見やアンコンシャスバイアスを減じる、しかし、ビックデータの組織活用においては、個人に対する配慮や人と組織をあつかう専門家としての倫理感など、組織開発的視点やマインドが必要である。

 

新しい時代の組織開発実践家(ODプラクテショナー)は、本質的に進化を遂げる必要がある。
私たちは、今までと同様社会科学(組織行動科学、心理学、経営学など)の知見に軸足おきつつ、同様に、新しい時代感覚をもって、生まれてくる未来型組織そのものの理解を深める必要がある。
これからのOD実践者には、社会科学の専門性(学問的なマスター、ドクターが必要)と同様、データ解析能力が強く求められる。
データ分析はヒトをみないということではない。組織情報、データを扱うには、我々により高次のシステム思考と洞察が求められる、視点の成熟が求められかもしれない。
深い組織と人に対する理解とマインドセットをもつ専門家だからこそ、これらの組織データを有意義に扱えるはずである。
いま、ODプラクテショナーには、新しい時代の新しいマインドとスキルセットが必要なことは明白だ。

参考
グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド2017 ~デジタル時代の新たなルール~
デロイト・トーマツが、世界140か国10,000人を超える人事部門責任者および管理職へのアンケートとインタビューを基に人事部門・人材活用の課題とトレンドをまとめた世界最大級の調査資料。

https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/human-capital/articles/hcm/global-hc-trends-2017.html