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あなたは意見リーダー?それとも質問リーダー?答えがない時代に必要な「質問力」とは


いま、仕事の現場では、過去パターンの分析からだけでは追いつかない、解決されるべき問題が山積みです。新しい時代へシフトするなかで、職場は常に変化しています。今日の正解が明日の正解とはかぎりません。現代はまさに、答えがない時代と言えるでしょう。

答えを自分たちで生み出すためには、他者やチームの力を引き出すチーム脳が必要です。チーム脳を起動するカギとなるのが、今回お伝えする「質問力」です。

 

求められる新しいリーダーシップ

 

いま、日本の企業ではチームワークが機能しなくなりつつあります。かつての終身雇用・年功序列が崩れ去り、雇用形態は多様化しています。立場の違う人々が一緒に働くようになったために、価値観は多様化し、かつてのように職場の一体感を感じることが難しくなったのです。人員削減のあおりでひとりの社員が抱える仕事が増えたため、職場には余裕がなく、リーダーも忙しすぎて、ゆっくりとメンバーと話をする時間もとれない状況です。成果主義の導入が個人主義を促進し、同僚とコミュニケーションをとる機会も激減しています。さらに現在のビジネスでは、グローバル化やIT化をはじめとする構造改革が、めざましい速さで進んでいます。こんな時代だからこそ、チームリーダーには新しい時代に合ったチームマネジメント手法とリーダーシップが求められているのです。

 

過去の成功パターンは役に立たない

 

社会の状況が激しく変化するなかでは、過去の正解が必ずしも現在の正解になるとはかぎりません。常に正解をもってマネジメントできるリーダーなどいないのです。正解がない以上、トップダウンの指令は意味をもちません。多くの場合、リーダーの指示にメンバーはそれぞれが「ちょっと違うんだけどな~」「意味がないと思う……」といった不満を抱えつつ、方針に疑問を抱きながら仕事に取り組むことになります。それでは現状を超える効果が上がるはずもありません。つまり、個々人が、トップに言われたことだけをやるダウンロード方式では、もはや仕事にならないのです。

 

誰かが明確な答えを知っている時代は終わりました。私たちが直面しているのは、答えがない時代に、全員でこれが「最適だ」と思える「最適解」を探していく道のりです。そして、みんなでつむぎだす「最適解」は、常に変化するものなのです。

 

他者とチームの力を引き出す、チーム脳とは

 

答えがない時代に、常に変化する「最適解」を導きだしてくれるのがチーム脳です。

 

チーム脳という言葉は、私たちがアクションラーニングコーチ養成講座をスタートした時に生まれました。アクションラーニングとは、グループで問題解決していく過程で、個人、そしてグループ・組織の学習する力を養成するチーム学習法です。アクションラーニングプログラムのセッション(質問会議)でみんなが一緒に考えている状況を見ていた際、弊社代表の清宮の頭にふと浮かんだ言葉です。

 

チーム脳とは、リーダー、そしてメンバー同士の質問によってチーム全員が頭のスイッチを入れ、一つの課題に対して一緒に考えている状態のことを指します。様々な目線から思ったことを自由に、あたかもひとつの頭のなかで起こっているように、皆で思考を補完し合いながら考え、活動します。うまくいっているチーム活動には、必ずこんな状況が生まれています。

 

 

チーム脳を起動するカギは「質問力」

 

ではチーム脳をつくる際、リーダーはどのようにチームに働きかければよいのでしょうか。リーダーがチーム脳を起動するカギとなるのが「質問力」です。

リーダーには「意見リーダー」タイプと「質問リーダー」タイプに分かれます。

この2つのリーダー像を比較しながら、質問力の重要性についてご説明します。

 

意見リーダーと質問リーダーの違いは?

 

・意見リーダーは自分の意見(思考)を重視するのに対し、質問リーダーはまず質問をします。

 

・意見リーダーが自分の考えで意思決定したり、答えをメンバーに提示したりするのに対して、質問リーダーは、実際の行動や成果を考え、メンバーからの質問や洞察を導きます。

 

・意見リーダーはメンバーが何をしているのか、いま、何が起きているのかに焦点をあてがちです。情報収集をし、原因を分析し、正解(解決策)を導き、自分が決定します。

質問リーダーは、問題が、「なぜ、どうして起こるのか」に注目します。そしてさらに、これから「どうしたらいいのか」を考える統合的アプローチをして、チーム全体のこれからの行動と成果に結びつけるのです。この場合、正解(解決策)は決してひとつではありません。

 

・意見リーダーの発言は、断定的であったり命令であったりするため、メンバーに単なる反応(リアクション)を引き起こすのに対して、質問リーダーはその、その問いかけによって、複雑な問題を紐解いたり、理解や振り返り(リフレクション)をメンバーに引き起こします。

 

 

・意見リーダーはチームメンバーとの関係は、権威、すなわち上司であることに依存していますが、質問リーダーのそれは、信頼関係に基づきます。つまり、上司という肩書きがなくても相手との関係を保てるかどうかが、質問リーダーと意見リーダーの違いなのです。

 

・意見リーダーは チームメンバーに「やってはいけないこと」を言ってコントロールしようとしますが、そうすることによってメンバーの成長を損なってしまうことがあります。質問リーダーは思考を広げることや多面的に考えることを促進しようとします。

 

このように意見リーダーと質問リーダーの違いが、チーム脳に大きな差を生むのです。

 

今、求められる「質問力」

 

「質問」には3つの効果があります。

 

1. 物事を分解し、新しい側面が分かる

2. 相手に対して興味、関心を示すことで共感が生まれる

3. 気づきやリフレクションを生み出しやすい

 

仕事の現場では、「何が起きたか」ではなくて「どうしてそうなっているのか」を見る必要があります。売り上げが上がらないとき、問題を抱えている多くのマネージャーは「売り上げがあがらない」ということにばかり注目し、「どうしてそうなっているのか」を見ようとしません。

「部下が言うことを聞かない」という場合も、「どうしてそうなったのか」という構造的な部分を見なければ、解決策は生まれません。

 

このような場面でも「質問力」がブレークスルーとなります。質問の3つの効果によりチーム脳が起動されることで、問題解決につながる新しい考え方やアイデアが生まれます。答えがない時代の新しいリーダーには、チーム脳を起動するカギとなる「質問力」が今、求められているのです。